大阪の住宅・如ノ屋の外観。古い街並みや路地のスケールに寄り添いながら静かに佇む建築。 素材とボリュームを慎重に計画することで、街の風景に静かな奥行きと余白をもたらします。
大阪の住宅・如ノ屋の土間。天井を彩る木製ルーバーの隙間から光が降り注ぎ、白で構成された階段が空間に軽やかなリズムを生みます。土間は木毛セメント板の無機質な質感と、木や植物の温かみが調和する開放的な空間。メンテナンス性に優れ、さまざまな活動を多目的に行うことができます
大阪の住宅・如ノ屋の窓辺。自然光が溢れる窓際に、趣味の観葉植物を並べています。鏡面仕上げとしたステンレスへの反射が、室内の風景を映し出し、空間に不思議な奥行きと多様な表情をもたらします。木毛セメント板の無機質な質感と、自然光や植物の温かみが調和する設計実例です。
大阪の住宅・如ノ屋のダイニング。あえて低く抑えた土壁の天井が包容力を生み出し、ラワン合板の造作壁と響き合います。素材や開口位置によって場所ごとに明るさを変えながら、異なる床や天井レベルにより生み出す余白が、住まう人の多様な居心地を肯定します。
大阪の住宅・如ノ屋のリビング。曲線を描く土壁の天井が空間を優しく包み込み、ダイニングから一段下がった床レベルが、心地よい「籠もれる」ような落ち着きを生み出します。
大阪の住宅・如ノ屋のリビング。アールを描く土壁が洞窟のように空間を包み込み、低い座面で寛げるソファを設えました。ラワン合板の質感と隅に灯る小さな明かりが、深い陰影と静寂を生み出します。
大阪の住宅・如ノ屋のリビング・ダイニング。ラワン合板の壁面と土壁の天井が、空間を優しく包み込みます。多様な材や異なる納まりで構築された空間は陰影を生み出し、素材のありのままの質感を浮き上がらせます。
大阪の住宅・如ノ屋の階段・ダイニング空間を支える丸太柱の力強さと、白のアイアン階段の繊細なラインが、素材と形の対比を生み出します。
大阪の住宅・如ノ屋。天井の土壁が描く柔らかな陰影と、力強いラワン合板の塊が空間に独特の静寂をもたらします。丸柱の曲線や、開口部からの光、こだわりを持った家具など、多様な素材と意匠が交差する。
大阪の住宅・如ノ屋の外観(夕景)。古い街並みや路地のスケールに寄り添いながら、静かに佇む建築。窓から漏れる温かな光が、夜の街路を優しく照らします。都市の「余白」を活かし、周囲の環境を肯定する住まいの設計実例です。熟練の大工による手刻みで仕上げられた空間は、伝統技術と現代意匠の美しい対比を生み出します。
設計者の自邸である。
わたしたち家族は非常にマイペースである。各々の趣味を持ち、それらはほとんど関係しない。どこかでギターの音が響けば別のどこかで映画の音が聞こえてくるなど、同時多発的にことが起こる。よく喋る日もあればあまり喋らない日もある。ものも多い。本、玩具、植栽、楽器、器など、統一感なくバラバラに買い物をする。しかしバラバラながらゆるく馴染んでいて、何故か心地良いのである。
建物はみなし道路や路地など、幅員の異なるみちが入り混じる地域にある。都心に近く、美術館や劇場など様々な文化に触れやすい場所でありながら、下町の雰囲気漂う町だ。車の交通量は少ないが、地域住民以外の人も多く往来する。密集市街地であり、ほとんどの住宅が道路ギリギリまで建てられている為か、日常的にみちを介した住民同士の交流を見ることができる。新陳代謝が激しい土地柄、古い長屋や新築住宅だけでなく、商店や社寺など、多様な建物が混在した独特の景観が形成されている。私がこの町に心地よさを感じたのは、なんとなく自分たちに似ていると感じたからなのかもしれない。そして、この場所になじむ住居をつくりたいと漠然と考えた。
なじむとは何か。自然性や時間性、主観性や客観性等の多様な要素を含み、論理的に説明するのは難しい。本質的でありながら人の気持ちで揺らぐ程不安定なのだ。パブリックとプライベートが混在する都市においては尚更複雑化する。しかし、人の基盤を成す重要な要素である。そこで、人・住居・都市が気持ちのゆらぎと共に、都度関係を築ける住居を目指した。
まず街と住居の関係を検討した。三方位を道路に囲まれた不整形地で必要面積を確保する為、建物を境界際まで寄せる構成とした。街との距離が近くなる為、公共と私的の関係を慎重に整えた。街と連続し人が親しみやすいスケールや、歳月を重ねる自然素材の採用など、時間が形となるデザインを心がけ、互いが圧迫感を与えないよう配慮した。開口部は各辺の環境を読み取り、プライバシーを守りながらも道路と繋がり、生活の気配がにじむよう配置と寸法を決めた。
その上で、環境や人との対話を通じて感覚的に要素を配置し、更新の痕跡を可視化しながら調整を重ねた。すると、大きな窓とそれを隠す垂れ壁、堅牢なRC壁と迎え入れるベンチ、透過性の高い手摺と遮蔽性の高い手摺など、相反する要素が内外で反復し、関わり合いながら平衡を目指す空間が生まれた。
多様な関係は内部構成にも表れる。天井高さや床レベル、スケールの異なる領域が連なる。環境を意識しながらも、つながりたいがつながりたくない等といった、アンビバレントな情味のある感覚を否定することなく、計画に織り込んだ結果である。それらを吟味した素材や納まりが程よい緊張感を与えながら拠り所として横断する。素材、納まり、構成は支配的になるのではなく、ありのままの良さを活かしている。各エレメントが絶えず関わり合う様は、お喋りしているようで楽しい。
結局、関わることでしかなじむことはない。日々のゆらぎに合わせて空間との関係を選択し、持続的に関わることで、少しずつ街になじんでいく住居を目指した。
如ノ屋
location           osaka
program          residence
structure          木造
size                  105.8㎡
completion      2025.06
photo      Yosuke Ohtake

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