なじむ住まい
人や場所、そこにあるものが、自然と「なじむ」ことを大切にしています。
素材や納まり、環境、空間の構成など、ひとつの要素だけが強く主張するのではなく、それぞれが持つ性格を生かしながら、全体として自然に感じられる状態を探ります。住む人にとっても、周囲の街や風景にとっても、ただそこにあるように感じられること。そうした住まいのあり方を考えながら設計しています。
自然素材と共にある
土や木などの自然素材には、均質な工業製品とは異なる表情や手触りがあります。ただし、自然素材を使うこと自体を目的にはしていません。その場所や用途に合っているか、どのように使えば素材そのものの性格を生かせるかを考えながら選びます。光によって表情が変わること、時間とともに色や質感が変化すること。完成した瞬間だけではなく、使い続けるなかで生まれる変化も含めて、素材と建築の関係を考えています。
数値のみに頼らない快適さ
断熱性能や設備計画など、住環境を支える性能は住宅に欠かせないものです。
同時に心地よさは数値だけで決まるものでもありません。光の入り方や風の抜け方、素材に触れたときの感覚、窓の向こうとの距離、天井の高さなど、身体で感じるさまざまな要素が重なって空間の印象をつくります。性能だけに偏ることなく、施工の確実さや耐久性にも目を向けながら、日々の暮らしのなかで自然に感じられる快適さを考えています。
徹底的な対話
設計では、依頼主との対話を大切にしています。希望する部屋数や設備だけでなく、普段どのように過ごしているのか、どんな場所を心地よいと感じるのか。話を重ねるなかで、その人にとって大切なものを少しずつ探していきます。図面だけでは伝わりにくいことは、模型や3Dモデル、CGなども使いながら確認します。また、施工が始まってからは施工者や職人とも対話を重ね、設計から現場まで一つの建築をつくっていきます。
積み重ねる検討
設計では、一度の検討で答えを決めることはほとんどありません。開口部の位置や大きさ、部屋同士の距離、素材の組み合わせなど、わずかな違いによって空間の感じ方は変わります。図面や模型、3Dモデルを行き来しながら何度も確かめ、その場所に立ったときにどう感じるかを想像しながら調整を重ねます。そうした小さな検討の積み重ねによって、最終的な空間へ近づけていきます。
細部にこだわる
異なる素材や部材が出会う場所には、必ず細部の設計が生まれます。そのディテールだけが目立ち、空間全体の印象を乱すことのないよう、一つひとつの納まりを考えています。ただ線を消して一体化させるのではなく、それぞれの素材や部材が持つ性格や役割を残すことも大切です。見た目だけでなく、施工のしやすさや耐久性、日々の使われ方まで含めて検討します。細部を整えることは、装飾を加えるためではなく、空間全体を自然な状態へ近づけるための設計だと考えています。